福島事故に関する提言

 

ストロンチウム90測定の整備が急務

 

ストロンチウムは化学的性質が骨の成分であるカルシウムに似ている。そのため、ストロンチウム90を経口摂取すると、それは骨に沈着する。生物学的半減期は数十年と大変長いので、骨に沈着したストロンチウム90は事実上、死ぬまで骨に留まる。

 

ストロンチウム90はベータ線のみを放射する物質である。ガンマ線はほとんど放射されない。他方、ストロンチウム90の半減期は29年もあり、体内での壊変による減少を期待することができない。

 

ガンマ線を放射しないことが原因で、ストロンチウム90を検出することはセシウム137の場合よりもずっと難しい。化学分離を経た試料を作り、ベータ線検出に感度が高い液体シンチレーションカウンターのような装置を使用する。操作方法および測定装置が特殊であり、化学分析室が必要となる。こうした条件がストロンチウム90の測定をやりにくくしており、測定がほとんど行われていないのが現状である。

 

測定が難しくても、健康管理にとって重要なストロンチウム90の分析を後回しにして良いとは言えない。国および自治体は食品中のストロンチウム90を測定する体制の整備を急がなければならない。

 

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