社会や音楽etcについて

 

独創性を育む

 

医学や生命科学も含めた理工系の分野における独創的な研究が生まれる背景を考えてみた。

 

2つの条件

独創的な研究が花開くための条件は2つあるようだ。
@自分で考え、苦労すること
A研究に没頭できる環境

 

自分で苦労して考えること

研究や開発では何(what)をやるのかを決めることが最も大切である。研究は世界ナンバーワンでなければ価値がない。当然のことながら、他人がやっているテーマを後追いしては見込が悪い。二番煎じはダメ。

 

例えば、青色LEDの開発の場合、このヤマの頂上を目指す人は沢山いたはずである。ところが頂上に至るルートが分からない。ルートは無いかも知れない。もしも、頂上に立つことができれば成果は非常に素晴らしい。

 

そうしたとき、人は何をするのか。研究成果が報告された論文や特許を沢山読み、情報の蓄積に励むことが普通であろう。しかし、中村修二氏はそうしなかった。日経ビジネスのネット版に中村氏のインタビュー記事が出ている。

 

中村氏は青色LED開発の前に化合物半導体の開発を手がけていた。その経験から、多くの論文や特許を読むと、無意識のうちにそれをまねてしまうことを経験した。その後、意図的に論文や特許をあまり読まないようにしたと述べている。自分を信じて、自分の考えに従うことが良いとのこと。

 

東京工業大学の丹生慶四郎教授は学生に対して、「他人の論文を読むな。自分で考えろ。」と指導していたというエピソードを元学生から聞きました。中村氏と同じコンセプトである。丹生教授は素晴らしい研究指導をされていたと思う。

 

他方、秀才と呼ばれる人は他人の成果を良く勉強し、成果を解説することは得意である。評論家ではあるが、研究者には向かない。

 

教訓は「勉強し過ぎないこと」である。

 

研究に没頭できる環境

研究に没頭できる環境を自ら作ることは大変難しい。何故ならば、理工系の研究には設備が必要であり、その設備が最先端のものである方が有利である。優れた設備は高価である。歴史のある研究室ならば先祖代々の設備が整っている。言わば、相続財産である。しかし、新興の研究者にはそれがない。

 

山中伸弥教授の場合、彼が奈良先端科学技術大学院大学でiPS細胞研究を立ち上げたときはゼロからの出発であり、実験設備を整えるために大変な苦労をされたと思う。

 

幸い、研究ファンドを申請したところ、意欲的な研究が認められ、山中氏の研究がスタートした。研究実績のない助教授に多額の研究資金が提供されることは大変異例なことである。申請された研究課題に先進性を認め、研究資金の提供を決定した審査員は立派である。

 

中村修二氏の場合、ダメもとで、青色LEDの開発を日亜化学創業者の社長に直訴したところ、社長は「いいよ」と即答した。これは絶対に冗談だと思った中村氏は、「予算も数億円かかります」と言ったら、「それもいいよ」との返事。蛍光材料を自ら開発し、会社を創業した社長は中村氏の能力を評価することができる人であり、重要な決断を即決することができる人であった。

 

教訓は「巡り合わせ」である。

米国・モンテレー

 

明るいカルフォリニア

Monterey

シリコンバレーでは

アメリカンドリームを目指して、多くの若者が独自のアイデアを暖め、起業する。エンジェル投資家は有望そうな提案に対して起業に必要な資金を提供する。起業が成功する確率は1000に1つと言われるほど低い。けれども、起業が成功し、株式が上場されれば、エンジェル投資家は投資金額の1000倍以上を得る。

 

シリコンバレーには、他人が手を付けていないことを考える若者とリスクに賭ける投資家がいる。起業を目指す人達が互い切磋琢磨する環境があるようだ。これにはシリコンバレーの気候風土(明るくドライ)とスタンフォード大学の存在が効いているようだ。

 

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