原子力のあり方を考える

 

ブローアウトパネル (吉田調書より)

 

水素爆発に対応するブローアウトパネルが改悪されていた

福島第一原子力発電所の事故では、1、3,4号機の建屋が水素爆発によって破壊された。爆発で吹き飛ばされた壁の破片が作業中の人々に当たり、負傷者が発生した。さらに、大量の瓦礫が建屋周辺に散らばり、事故収束の大きな妨げとなった。

KazanHunka

 

原子炉建屋が水素爆発によって破壊されたニュースに接した当時、私は原子炉建屋には水素爆発に対応できる防爆設備がないのかと疑問に思っていた。昔に聞いた話ですが、弾薬庫では爆発事故による被害を少なくするために天井部分が弱く造られており、爆発の威力を天井方向に逃がすようになっているそうです。

 

吉田調書から、1号機の水素爆発に伴って2号機建屋から落ちたブローアウトパネルが防爆の設備であることが分かりました。すなわち、原子炉建屋には水素爆発に備える設備はあるにはあったのですが、その設備が福島事故では機能しなかった。その理由が吉田調書から明らかになった。

 

福島事故の4年前、2007年7月に中越沖地震が柏崎原子力発電所を襲った。このとき、7基ある原子炉建屋のいずれかでブローアウトパネルが地震の衝撃によってはずれ、地上に落下したのでしょう。ブローアウトパネルは水素爆発の衝撃を和らげる目的で造られたものであり、軽い衝撃や振動で外れるように設計されていたはずで、落下したことは当然のことであった。

 

しかし、パネル落下を地震で建屋の一部が損傷したと捉え、これはけしからんとの指摘が外部からあったのでしょう。外部からの理不尽な非難に対処するために、柏崎原発ではブローアウトパネルの固定を強化した。その後、福島第一、第二の原発でも固定強化が実施された。

 

何故、そのような馬鹿げた工事がされたのか?何故、安全装置の機能を殺すような改悪工事が行われたのか?

 

日本の発電用原子炉の全てが軽水炉と呼ばれるタイプであり、水(H2O)が放射線に照射されて水素が発生する。水素の原子・分子は小さいため、漏れやすい。そのため、水素が漏れて建屋に充満する可能性があり、水素爆発に対処する設備が必要である。

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