福島事故に関する提言
2014.5.30
NHKクローズアップ現代で原発事故の汚染廃棄物最終処分が放映された(2014.5.29)。この放送を見て以下のことを思った。それは、東電管内の自治体が原子力発電によって受けた利益に応じて廃棄物受け入れることである。受益者負担である。
福島原発事故によって放射性物質(主に放射性セシウム)で汚染された廃棄物が大量に発生した。具体的には、下水処理場が排出する汚泥やその焼却灰、ゴミ焼却場が排出する焼却灰、稲藁などである。それらの内で、8000ベクレル/kgを超えて放射能汚染した廃棄物を指定廃棄物と言う。この指定廃棄物の最終処分をどうするかが大きな問題となっていることが放映された。
東電管内、すなわち東京電力が電力を供給する地域をインターネットで調べたところ、次の地域であることが判った。群馬県、栃木県、茨城県、埼玉県、東京都、千葉県、神奈川県、山梨県、静岡県の富士川以東。上記のTV放送では、宮城県の例も紹介されていたが、宮城県は東京電力ではなく、東北電力の管内である。宮城県の住民は福島原発で発電された電力を直接的には受けていないにも関わらず、汚染廃棄物で困っている。
そこで、私が思いついたことが受益者負担である。原子力発電の恩恵を受けた人は、原子力発電が内蔵する負の部分を負担するべきではないのか。受益者を人にすると混乱するので、受益自治体が負担することを提案したい。これによってエネルギー問題、環境問題が他人の問題ではなく、自分達の問題と捉えることができるはず。
もし、電力消費量に比例して指定廃棄物を受け入れるならば、東京都の引受量が最大となる。東京湾沿岸に原発を設置することは難しいとしても、東京都内に指定廃棄物処分場を設置することは可能なはず。
一般論を言うならば、エネルギー利用はプラスの面であるが、その裏には環境問題がある。エネルギーと環境は表裏一体の関係にある。化石燃料にはCO2(二酸化炭素)の排出、原子力には放射性廃棄物の排出が必ず伴う。このように、エネルギー問題は大変難しい。
指定廃棄物処分よりもずっと難しいのが使用済核燃料の最終処分である。この場合、受益者は自治体ではなく国となる。世界の中で、原子力発電の恩恵を受けた国が恩恵量に比例して発生する使用済核燃料を処分することになる。