新聞やTVで核兵器に関する報道がある場合、その核兵器の威力がTNT火薬の◎◎トンに相当しますと発表される。TNT火薬が基準として使われる理由が長い間理解することができままであった。あるとき、その疑問が解けた。そのヒントは米国、ニューメキシコ州にある原爆博物館の解説資料の中にあった。
核兵器を開発することが目的のマンハッタン計画では1945年5月に1つの実験が行われた。地上からの高さが20フィート(約6m)の木製のやぐらを作り、その上に100トンのTNT火薬を積み上げた。TNT火薬の周囲に放射性物質を置き、爆発させた。爆発時に衝撃波を観測し、爆発後に放射性物質の分布を測定している。
写真 TNT火薬を積み上げる作業
TNT火薬100トンの爆発実験が核兵器威力に目盛りを付ける実験、すなわち較正実験であった。
なお、長崎に投下されたものはプルトニウム型原爆であった。プルトニム-239はウラン-235よりも半減期が短いため、プルトニム型では瞬時に臨界を達成する爆縮技術が必要。この爆縮を確認するための核兵器実験が1945年7月末にニューメキシコ州トリニティにて行われた。実験時期は広島、長崎に原爆が投下される直前であった。