原子力のあり方を考える

 

都知事選を思い返す

2014.02.22

今回の都知事選挙の結果、「私たちは脱原発が新たな未来を生む可能性を失った」という田中優子法政大学教授のコメントが2月21日毎日新聞夕刊の特集ワイドに出ていました。本当にそうであるのか?

2月9日に東京都知事選挙の投票が行われ、桝添氏が当選した。原発再稼働を推進する自民党が推薦する桝添氏が当選したことから、政府は都民、すなわち国民は原発推進を支持したと主張する。これには論理の飛躍があると思う。選挙戦において桝添氏は「原発依存体質を少しずつ減らすのは重要だが即時ゼロには反対」と述べていたが、積極的な原子力推進を明言していない。
 

桝添氏を追う宇都宮氏と細川氏は共に脱原発をかかげ、特に細川氏は即時ゼロを主張していた。他方、原発再稼働を支持する人は、段階的に原発依存を減らそうと言う桝添氏に投票したと考えられる。宇都宮氏の得票数と細川氏の得票数を合わせたものが、桝添氏の得票数とほぼ同じであった事実は、即時ゼロから将来ゼロまでの幅を持たせて考えれば、有権者の半数以上が脱原発に賛成であったと解釈するべきではないか。

投票日直前に東京新聞が行った調査では、再稼働反対が53.3%、賛成が39.6%。自民党支持層の56.8%は政府が「安全」とする原発の再稼働に賛成であった。

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