福島事故に関する提言

 

国策民営のツケ

 

エネルギー資源の乏しい日本に自前のエネルギーとして原子力エネルギーを導入することを目的として原子力基本法が1955年12月に発効した。国の政策として原子力を推進することが決まった。基本法では、原子力委員会(推進)および原子力安全委員会(安全規制)の設置が規定された。火付けのマッチ(推進)と消火用の水ポンプ(規制)の両方が設置された。1955年の当初から安全を担保することの重要性が認識されていたことになる。 現在、原子力委員会、原子力安全委員会ともに内閣府に属している。

他方、実際に原子力発電所を建設し、それを運転して発電するのは電力会社という事業者である。政府(経産省)から原子力発電をやるように指示され、政府(原子力安全・保安院、原子力安全委員会など)から安全規制の名の下に種々の注文を受けるのが電力会社である。

今回の事故を介して以下のことが想像される。

口を出すのは国で、手を汚す役は電力という構図が事故の背景にあるのではないかと考える。国側に事故の責任をとる真剣な姿勢(反省も含めて)が見られない。政策指導や規制をするだけで、事故処理は東電まかせ。原子力推進は国と電力が二人三脚で進めてきたのに、事故の責任を東電に負わせている。他方、東電側には国策に従って原子力を推進してきただけであり、事故は自分達の責任ではないという思いがあるかもしれない。


今回の事故では炉心融解が起き、大量の放射性物質が環境中に放出された。福島県や日本だけに被害が限定されるのではなく、全世界に大きな迷惑をかけるレベル7の事故である。国際社会における日本のあり方を国は真に考えているのだろうか?

本当は国側も事故処理に関して色々なアイデアを出し、裏で東電と密接に協力しているのかもしれない。残念ながら、それが一切見えない。このことが国民を不信にしている。

提言:
(1)保安院を経産省から切り離すこと。
   現在は警察(保安院)と泥棒(資源エネルギー庁)が経産省内に同居する構図。
(2)保安院は技術(原子力)の専門家集団とする。
   トップは事務官でなく技術系専門官が努める。
(3)原子力安全委員会と保安院を統合する。安全規制の独立と強化。
(4)原子力委員会の廃止もしくは資源エネルギー庁に移動
(5)安全審査では建設途中および完成後の現場検証を行う。


福島事故に関する提言